全社員が、同じ目標に向かいながらも、ひとりひとりの創造性を活かした経営をおこなうためには「ブランドビジョン」を戦略的につくり、使いつづけることが大切です。
しかし、ブランドビジョンをつくってあるけど、WEBサイトに掲載し、会社の壁に掲げてあるだけ。。という企業も少なくありません。
弊社が企業のブランディングという視点から、ビジョンのあり方や、そこから始まるブランド力の高め方を独自に研究している中でいくつか発見がありました。
<発見したこと>
1、ブランドビジョン(経営理念となるケースも)がなくても経営に大きな影響はなく、成長することはできる。
企業の業績が安定している(一定の顧客から安定して一定量の仕事が受注しつづけられるような企業)は、正直言って、ブランドビジョンがつくられていなくても経営に影響はなさそうです。その理由は、日々、目の前の仕事に取り組んでいれば問題なく企業を継続することができるからです。こういう企業も一定量はあるようです。
また、ブランドビジョンをつくってあるだけで活かされていない場合でも、企業の業績が安定していることがあります。
2、ブランドビジョンをしっかりとつくり全社員に浸透できていると成長を加速することができる。
特に多いケースは、世代交代(事業承継)後に後継者が張り切りすぎて、社内をかき回してしまい、後継者が孤立してしまったケース。また、事業承継後に、自社に大きな負債があったことに気づき、経営を圧迫してしまい、後継者が必死になり、そこをなんとか切り抜けるため考え、実行したケースがあります。
このどちらも、後継者が、ブランドビジョンの大切さに気づき、一生懸命勉強して、それを全社員に反映しています。さらに、全社員に同じ方向を向いてもらうために、ブランドビジョンを強制するのではなく、ひとりひとりの創造性や夢と企業のブランドビジョンを重ね合わせるための個人面談を定期的に実施して、両者の合意形成を継続的に図ったケースでは、場合によっては企業の業績が爆上げしていることが多いようです。
<これからの時代のブランドビジョンのあり方>
これからの時代は、成熟した経済環境の中で、企業のブランド力を高めるため、社員ひとりひとりの創造性を高めた経営“Design Mnagement”が重要となっています。
<ブランドビジョンのつくりかた、使い方>
ここから、ブランドビジョンのつくりかた使い方を6つのステップでご紹介します。
0、ブランディングプロジェクトを編成
自社の向かう目標をつくるので、経営者が率先してひとりでつくるという考え方もあります。組織であれば、できればブランディングプロジェクトを社内に編成して、チームとしてつくりあげることをおすすめします。
経営者ひとりの視点だけでなく、各部門の視点、世代の視点などもあります。
また、多様性の現代では、ITや環境、人材などさまざまな面から検討を重ねる必要もあるため、さまざまな視点を持ったメンバーで構成することも大切です。
チームを編成する場合6人くらいが妥当と思います。グループ討議をする中で、少なすぎても多すぎても意見がでにくいもので、6人くらいが妥当と考えています。
1、創業から現在までの道のり
これは、創業者が健在の場合は創業者からヒアリングします。現在の経営者からのヒアリングでも大丈夫です。
創業者理念や創業者の思いや大切にしてきたことを把握します。事業を継続する中で、苦難があったときにどのようにして乗り越えてきたのか。成長段階ではどのような要素があったのか。またはお客さまからの評価など。
これらを把握することで、自社のルーツや根底にある思いや価値観を改めて共有します。
2、現在の自社を取り巻く状況を共有
自社の商品・サービスの強み弱み、競合の中でのポジションを見える化します。また、企業としての強み弱み(人、もの、金、情報等の視点で)等を見える化します(SWOT分析等を応用してもよいです)そして、顧客像を把握します。また、今後、社会や経済の変化の予測から自社として備えなければならないこと、整えなければならないことを共有します。
これらを把握することで、自社の現在のポジションと将来向かう方向性の基盤となる考え方が見えてきます。
3、10年後の目指す姿をアイデアリングします。
ここで「アイデアリング」と買いたのは、10年後の姿として現実的に見通せる将来像は描けますが、将来は、予測できないことが起こる可能性があります。そこにはリスクが伴う場合もありますが、自社のチャンスを生み出すこともできます。企業を成長・発展させるためには、挑戦することも大切です。自社が挑戦しながら成長させるためにも、社員と一緒に大きな夢を描くこともビジョンづくりには欠かせません。
ここにも、社会の中で自社の存在価値も盛り込む必要があります。
さらに、自社が成長することで経営者だけでなく社員ひとりひとりが夢を持って働きつづけたくなるような要素も盛り込む必要があります。
4、ブランドビジョンの元となるストーリーをつくります。
1〜3で共有したそれぞれの要素をまとめ、10年後に叶えたい企業のイメージをストーリーとしてつくりあげます。
これはエッセイや物語などの言葉や、一枚の絵としてつくりあげたり、絵本やムービーとしてつくりあげるなど、自社らいしい方法でストーリーを作り上げます。
このときに、どんな人たち(経営者と社員たち)が、どんな環境で、どんな技術やノウハウを使って、どんなお客さまに、どんな体験や価値提供をしているか。また、社会に対して何を提供しているのか。さらにこれらを実現するために社長と社員たちはどのように夢を持って活動しているのかを、イメージ的でありながらも明確に表現します。
5、ブランドビジョンとなる言葉をつくります。
4を象徴しながら、自分たちが10年後に向かっていくための目標となる言葉をつくりあげます。
この言葉は、シンプルな方が良いと思います。できれば「○○○を○○○する。」くらいの言葉がよいでしょう。全てを網羅することは難しいので、全てを象徴する中心となる言葉としてブランドビジョンを制定して、フィロソフィー(行動指針)として細目を設定するやり方もあります。
6、企業の夢と社員の夢をブランドビジョンに重ねる。
ブランドビジョンをもとにした活動がスタートしたら、今度は、ブランドビジョンの活用と浸透のための活動が始まります。朝礼で、ブランドビジョンを唱えることも大切ですが、社員ひとりひとりと個人面談を共通言語として、ひとつひとつの仕事の進捗、新しい挑戦、成長のためのハードルづくりなどを、確認しあいながら話し合うことを定例化します。
これにより、ブランドビジョンが会社からトップダウンでおろされたものではなく、社員ひとりひとりが自覚しながら自分ごととして、日々考えられる風土づくりをおこないます。
この活動は、社員の創造性をたかめ、自ら考え、自ら行動するようにもなります。
<ブランドビジョンをつくるポイント>
□なぜ、シンプルな言葉が望ましいのか?
ブランドビジョンを制定したけど、WEBサイトや社内の壁に制定しただけ。。であったり、年に一度の経営指針発表会で読み上げ説明しているだけ。。という企業が多いです。この場合、社員にブランドビジョンを聞いても知らなかったりするケースもあります。これでは、せっかく制定してブランドビジョンは活かされません。
最適な使われ方は、経営者も含めて全社員が「合言葉」として使いやすい言葉であることだと思います。そのためには、社員ひとりひとりが普段の業務の中で、何か判断基準が必要になった時に、お互いに共通言語として確認し合ったり、社員が1人で考えている時にも、頭の中で判断基準として唱えられる言葉であることが望ましいです。
□ブランドビジョンは一歩先の成長につながる言葉を!
ブランドビジョンは、10年後の夢や計画を実現するための合言葉と考えます。そのためには、10年後の夢を実現するという「わくわく感」も大切です。ひとつひとつの仕事は、社員または経営者であっても、一歩成長させるためのハードルとなることもあります。このハードルを超えることが苦労ではなく、わくわくと楽しく超えたくなるようにするためには、合言葉であるブランドビジョンもわくわく感を感じる言葉でありたいと考えます。
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